THE PRIME ATLAS
素数のふしぎ図鑑
末尾1・3・7・9は約25%ずつ。なのに、同じ末尾の素数は続きにくい。出現率と並び順のふしぎを、100万までの集計・図・クイズで楽しみます。
一見ランダムに見える素数にも、並び方のクセがあります。今回の主役は、いちばん右の数字。「どの末尾も同じくらい出る」のに「同じ末尾は続きにくい」。なぜ、こんなことが起きるのでしょう。
約25%。なのに、同じ末尾が続きにくい。
5より大きい素数の末尾は、1・3・7・9の4種類。100万まで数えると、それぞれ約25%です。ところが、末尾1の素数の次も1になる割合は、約16.38%。ひとつずつ数えると均等でも、順番まで独立とは限りません。
図は、5より大きく100万以下の素数78,495個と、その中で連続する78,494組を計算して集計した例です。25%は、大きな範囲で近づく割合。有限の範囲では少しずれます。
前が1なら、次はどの末尾?
前の素数の末尾ごとに、次の素数を仕分けました。たとえば「1 → 3」は、末尾1の素数の次に末尾3が来る割合です。金色のマスが、同じ末尾の連続。どれも25%を下回っています。
| 前 ↓ / 次 → | 1 | 3 | 7 | 9 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 16.38 | 32.11 | 33.39 | 18.12 |
| 3 | 22.31 | 14.29 | 29.59 | 33.80 |
| 7 | 25.83 | 27.74 | 14.64 | 31.78 |
| 9 | 35.46 | 26.09 | 22.34 | 16.10 |
表は横にスクロールできます。
4種類を独立に25%ずつ選ぶなら、次が同じ末尾になる割合も25%。この素数列では、同じ末尾が続く組を全部合わせても約15.35%です。「出現率が均等」と「前の数字に影響されない」は、別のことなのです。
同じ末尾は、絶対に続かない?
続くこともあります。たとえば181の次の素数は191。どちらも末尾1です。「続きにくい」は、たくさん数えたときの偏りで、すべての組に当てはまる禁止ルールではありません。
集計した件数を、もう少し詳しく
末尾1は19,617個、3は19,664個、7は19,621個、9は19,593個。全78,495個で割ると、それぞれ24.99%、25.05%、25.00%、24.96%です。
表では、前後の素数がどちらも範囲内にある組だけを数えています。最後の999,983には範囲内の「次」がないため、末尾3の行の分母は19,663組です。他の行の分母は、それぞれ19,617組・19,621組・19,593組。表示は小数点以下2桁に丸めています。
数えるだけでは、隠れていたルール。
まず、なぜ末尾は約25%ずつ?
5より大きい素数は、2でも5でも割り切れません。だから、末尾0・2・4・5・6・8は外れ、1・3・7・9が残ります。
「4種類あるから均等なはず」だけでは、説明になりません。この4種類に素数が現れる割合は、数える範囲を大きくすると、それぞれ1/4へ近づくことが証明されています。算術級数の素数定理という結果です。定理の式を見る(MIT教材・問題5)
末尾だけを数えた結果は、均等な4択に似ています。でも、この定理は「次の素数の末尾も独立に決まる」とは言っていません。
では、なぜ同じ末尾が続きにくい?
素数は、自分より小さい素数では割り切れない数。そして「次の素数」には、間に別の素数がひとつもない、という条件もあります。この条件の組み合わせが、末尾の並び方と関係します。
616771
61と71は同じ末尾でも、その間に67があるので隣り合う組には数えません。これは「連続する」の意味をつかむ例。ただし、同じ末尾なら差が10以上になる、という説明だけでは、観測される偏りの大きさまで説明できません。
2016年、Lemke OliverとSoundararajanが、この偏りを詳しく研究しました。割り切れなさと「間に素数がない」条件を組み合わせた予想で、同じ末尾が避けられる傾向を説明しています。その定量的な説明は、素数の組に関する未証明のHardy–Littlewood予想に基づきます。連続する素数の偏りを調べた論文
末尾の割合は均等に近い。でも、並び順にはクセがある。一見ランダムに見える数の列から、隠れた規則性が顔を出します。
素数って、どんな数?
素数は、1と自分自身だけで割り切れる、2以上の整数。1から100には25個あります。金色の数だけが素数です。

2、3、5、7、11、13、17、19、23、29、31、37、41、43、47、53、59、61、67、71、73、79、83、89、97。偶数の素数は2だけです。
ほかの不思議も、のぞいてみよう。
すぐ隣に、もうひとつ。
11と13のように、差が2の素数の組を双子素数と呼びます。間の数をひとつ挟んで、素数がまた現れるのです。
100までに、何組いる?
8組です。3と5、5と7、11と13、17と19、29と31、41と43、59と61、71と73。5は、ふたつの組に登場します。
このふたり組が無限にあるかは、まだ解けていない問題です。双子素数予想について
自分で発見:2〜100のリストで、差が2の組を探そう。
急に、姿を消す。
113の次の素数は127。その間には、素数でない数が13個も続きます。119は7×17、121は11×11。奇数でも素数とは限りません。
もっと長いすき間も作れる?
いくらでも長くできます。たとえば1×2×…×10をNとすると、N+2は2、N+3は3、同じようにN+10は10で割り切れます。掛ける数を増やせば、素数のない連続区間をさらに長く作れます。
自分で発見:100〜200を生成して、いちばん長いすき間を探そう。
ぐるぐる並べると、模様に。
中央の1から、整数をらせん状に並べます。素数の場所に点を打つと、斜めに連なる筋が見えてきます。ウラムのらせんと呼ばれる並べ方です。らせんの仕組み
筋の上は、全部素数?
いいえ。筋に見える並びにも、素数でない場所があります。並べ方を変えるだけで、ふだんのリストでは気づきにくい偏りが見えてきます。
自分で発見:2〜3721のリストを作り、数字の位置をらせんに並べ直そう。
遠くへ行くと、出会いが減る。
同じ1000個の整数でも、この3区間では素数の数が168、106、81と減ります。大きな数へ進むと、素数は全体としてまばらになっていきます。素数の分布について
次の区間では、必ず減る?
必ずではありません。区間ごとの件数は増えたり減ったりします。広い範囲での傾向と、ひとつひとつの区間の違いを見比べるのも楽しみです。
自分で発見:同じ幅の区間をいくつか選び、素数の数を比べよう。
40回つづく、素数の式。
n²+n+41という式に、0、1、2……を入れてみます。nが0〜39の間、出てくる40個の数はすべて素数。数学者オイラーの有名な式です。この式について
では、nを40にすると?
40²+40+41 = 1681 = 41×41。ここで素数の連続が途切れます。何度も成功した式でも、ずっと続くとは限らないのです。
自分で発見:2〜1700のリストで、式から出た値を照合しよう。
どちらから読んでも、同じ。
131や313のように、左右どちらから読んでも同じ数を回文数と呼びます。その中の素数が回文素数。数字の見た目にも、探す楽しみがあります。回文素数について
121も、回文素数?
回文数ですが、素数ではありません。121 = 11×11です。ちなみに、十進数で桁数が偶数の回文は11で割り切れるので、その中の素数は11だけ。11が特別な理由
自分で発見:2〜1000のリストで、鏡のような数を探そう。
気になる範囲を、自分のPCで。
もっと大きな数の素数や、ダウンロードでは扱いにくい大容量のリストも、必要な範囲を選んで手元で生成できます。大きな数とリストを作るには →
Riragon Prime Generatorで、開始値6・終了値1000000の素数をTXTに保存すれば、今回と同じ78,495個のリストを用意できます。末尾や前後の組を数える集計は、書き出したデータを表計算や自作プログラムで分析する例です。集計の手順を見る
小さな範囲で双子素数を探したり、件数や間隔を比べたり。らせん図は、書き出した数字を並べ直して楽しむ例です。
最新開発版1.0.6のCLIでは、双子素数と間隔を調べるgaps、区間ごとの密度を比べるdensity、指定値の前後の保存済み素数を探すprobeも使えます。
